強みと専門性 前半 中小企業診断士独立

独立1年目

今日はTwitterで頂くご相談で最も多い

「自分の強みや専門性がわからない」

というものに対して私の経験をもとにお話させてください

「自分には何にも無い!!」

ってお悩みの方にとって参考になれば嬉しいです

それでは行ってみましょう


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駆け出しの中小企業診断士にとって2月は大きなチャンスのシーズン

様々な機関で専門家登録が始まるのだ

専門家登録とは、公的機関から、自治体や商工会、商工会議所、インキュベーション施設に経営アドバイザーとして派遣されていく制度である

もちろん派遣されると、報酬も頂けるため

見込み客もコネもない我々のような新人にはまたとない仕事獲得のチャンスである

しかし私にとっては一つ大きな問題があった

履歴書を提出する必要があるのだ

かつて転職活動中に言われた言葉がよみがえる

「アルバイトは職歴には書かないでくださいね」

まぁ確かに新卒の就活生だってアルバイトの経歴は自己PR欄には書くだろうが、職歴には書かない

そうなると

私の職歴は25歳から30歳までが空白なのだ

もちろん転職活動の時は直近の経歴が重視されるのでまだ問題は少なかったが

経営の専門家

として書くにはあまりにもつらい

唯一の逆転打が中小企業診断士資格なのだが

専門家登録に応募する人は大抵中小企業診断士か他士業なのだ

その結果どうなるか

当然書類で落ちまくる

もちろん経歴だけでなく診断士としての実績も足りないという方が大きいだろうが

やはり

大手商社で海外支店に駐在

とか

市場シェアNo.1の工作機器の設計

とか

アメリカでマーケティングを担当

に勝てるわけがない

もうびっくりするくらい書類で落ちた

さらに私が辛かったのが、ほとんどの機関で専門家登録要件には

中小企業診断士独立2年以上
もしくは
社会人経験10年以上

という項目があったことである

アルバイトが私の経歴から抜けると、わたしの社会人経験は6年半しかない

まず応募できる先が極端に少なかった

その数少ないチャンスも書類が通らない

つまり私には

職歴も 

専門性も 

強みも

本当に笑えるくらい何にもなかった

今の私は、ありがたいことに実務補習の先生のお手伝いと試験予備校の仕事があり

なんとか毎日のご飯は食べられているが

やはり足りない月もあり、貯金を切り崩して生活していた

ヤバい

本当に後がない

そしてこの時には家族が一人増えていた

まだ産まれて間もない赤子を連れて

全く見えない明日に頭を抱えていた

同期合格のみんなは、問題なく専門家登録が完了している

なんでいつもこうなんだろうと途方に暮れる


とにかく何をしたらいいか分からず、貯金を切り崩し「交流会」と名がつくものには片っ端から出席していた


当時(今もそうかも知れないが)は、こういった飲み会で大御所の先生と仲良くなり下請け仕事を頂くというのが新人診断士の仕事獲得常套手段として浸透していた

新人とはいえ当時30代は少なく、独立までしているのは私含め数人しかおらず、飲み会ではよくいじられていた

いじられるとはいえ、話を振ってもらえるだけありがたいと感じていた

だいぶお酒も入っていた深夜

とある大御所の先生から

「君は独立したんでしょ?」

と振られたので、元気よく

ハイ!

と答えた

「コンサルファーム経験はあるの?」

つらい質問だ

ない、、、です

「じゃあ、シンクタンクとか?なんか設計とか?技術職とか?」

いえ、違います

「それでどうやってコンサルするの?」

こたえられない

言葉につまる

多分意地悪でおっしゃったのではない

資格をとっただけではコンサルなんてできないということを教えてくださったのだと思う

「そんないきなり独立するより会社で経験積んだ方がいいんじゃないかな?」

、、、。


「ありがとうございます」

力なく答えた

100%親切心でおっしゃってくださったと思う

「30代前半。まだまだ会社員としても学べることは多いだろう?」

ということなんだと思う

独立したくてしたわけじゃない、するしかなかったんだ

なんて事情は普通の感覚じゃない

おそらくそんな状況想像もできないと思う

ここにいる皆様は、若い頃から努力して、勉強して、いい大学入って、一流企業に入ってる

会社員として働いていて「家族を養えないかもしれない」という発想はたぶんない

ここにいる方の「独立する」ということは、

「自分の力を試したい」と考えるか

「もっとお金が欲しい」と考えるか

「組織に縛られたくない」

といった「自己実現」なのだ

だからまだ我慢しなさい

そういうことなんだと思う

すごいもやもやした言語化できない気持ちがあった

分かってもらえない

分かってもらえるなんてもちろん甘えである

しかし前から薄々感じていたけれど

エリートの方の前だと委縮してしまって言葉が出てこない

なんというか馬鹿にされそうで(そんなこときっとないとは思うが、)本音で相談することができない

合格直後は、「こんな頭のよい人たちのコミュニティに入れるんだ!」なんて高揚していたけれど

「私がニューヨークにいたころは、、、」

とか

「全国でトップセールスをとった経験から、、、」

とか聞くと、体が硬直してしまう

もちろんすごいと思う。めちゃくちゃく尊敬するし、羨ましくも思う

でも

でも

それでも

自分が自分のコンサルをお願いするなら、

多分この素晴らしい経歴の人たちでは、話を聞いても分かってもらえない

って感じる気がする

なんというか

人気者に人気者になる方法を聞いたら

「自然にするべきだよ」

なんて言われそうでつらい

でも

きっとこういう気持ちになるのは私だけではない

20代の頃、自分自身音楽を志していたころ

自分の周りにはたくさんのフリーランスがいた

デザイナー 作家 劇団俳優 お笑い芸人 

夢をあきらめて飲食店を開いたり、リラクゼーションサロンを開いた仲間もいた

みんな組織に属するのが苦手な人たち

自分たちが好きなことは夢中になるけど 

それ以外については興味もないし、自信もない

その結果どうなるか

ハードモードになる

ありもののテーマでトップページを組んだだけのホームページに年間100万円以上払ったり

銀行でお金をかりる方法がわからなくて、カードローンでお金を借りて10倍以上の金利を払ったり

何をしてくれているのか分からないコンサルになけなしの収入を手渡している

ちゃんとした人に聞けばいいじゃないかって思いますか?

だれに、なにを、どうやって聞いていいのかすら分からない

今(2023年)でこそYouTubeやインスタグラムにも分かりやすく情報が出ている

怪しい情報も多いけれど、6年前よりはよっぽどましだ

2017年当時はよくわからない情報商材や怪しげなセミナーがそれこそ普通に検索上位をしめていたのだ

どうやって調べればいいかすらわからなかった

「よくわかる開業ガイド」

これが簡単に読めるのはビジネスについての知識があるからだ

嘘だと思うなら是非

「よくわかるシーケンス制御」

とか

「刑事訴訟法入門」

とかを読んでいただきたい 多分理解なんてできない

入門書を読んでも理解できなくて絶望する

その繰り返しだった

ため息がでる

気が付いた

私はお金がどうこうというより

こんな個人事業主の皆様を支援したいのだ

ばかげたことだとわかっている

ターゲットを個人事業主に絞り込む中小企業診断士はほぼいない

なぜか

中小企業診断士の業務形態で最も憧れの対象なのは

「顧問契約」のみで食べている診断士である

単発の仕事ではなく、顧問として企業と契約し、会社の外部軍師として伴走支援をおこなっていく

そうすれば売上も安定するし、単価も高い

だからみんなここを目指している。

専門家派遣よりもはるかに単価が高く、さらに安定している

狂おしいほど魅力的だ

しかし当然顧問料を払える企業となれば中小企業でもやや大きめの会社となる

少なくとも、毎月顧問税理士に10万円以上支払っている企業であることなんて言う先生もいた

だから中小企業診断士として、狙うターゲットは必然的にこのゾーンになる

しかし私はこのゾーンを捨てることを決意した

私のビジネスモデルから「顧問」という選択肢を除外することを心に決めた

周りからみたら正気の沙汰ではない

自分から「儲からない」と言われるゾーンに突っ込もうとしているのだ

でももう関係ない 

「最大でも従業員5名以下の小規模企業」

ここの専門家になろうと決めた

この人たちのことなら、どう考えても私の方が詳しい

私は前職、東京の下町で家族経営の町工場、印刷所、問屋、デザイナーたちとモノづくりをしてきた

毎日のように下町を自転車で走り回っていた

ミュージシャン時代では、カメラマン、美容師、メイク、俳優、ダンサーなどそれこそ「一人起業」ばっかりだった

どう考えてもこの領域だったら負けない

逆に従業員が1万人もいた会社の管理経験者が、この人たちにどんなコンサルをするっていうんだ

この層に対して、県内No.1診断士になれるなら、いくらなんでも「食えない」ということはないはずだ

今までは「お金が稼げそう」なゾーンで自分の強みを探していた

そんなのこっちの都合だ

とにかく自分の力が最も活きるフィールドで戦う

その上で、稼げるビジネスモデルを作る

強みや専門性は「探す」ものではないと気が付いた

「覚悟」するものなんだ

覚悟さえできれば、弱みすら強みに変えられる

そして一筋の光が見えた

~~

本日もお読みいただきありがとうございました

今回は初めて前後編に分かれます

本当は、じゃあこの強みに覚悟を決めて結果どうなったの?

というところまでお話しないと意味がないのですが、既に3,700文字を超えておりどう考えても長すぎますので、一度ここで切りたいと思います

今日のお話で最も伝えたかったのは

「枠」の中で強みを探していないか?

ということです

私自身ここにたどり着くまでには長い時間がかかりました

今回の話からするとすぐに気づいたように見えますが

やはり顧問契約に憧れ、こんな私でも顧問契約ができる規模の企業に対して強みが発揮できないか散々考えた時期もありました

でもないものはない

自分が提供できる価値で最適化しました

そしてもう一つ

これも誤解の無きようにお伝えしたいのですが

大きい企業のコンサルティングはレベルが高く、個人事業主のコンサルティングはレベルが低いということは一切ありません

もちろん読者の皆様にそんな方はいらっしゃらないと思いますが、こういうマインドのコンサルタントも一定数いるのが、残念ですが事実です

こういった状況もかえていきたいと考えています

もし私とおなじような境遇にいらっしゃる方、是非スモールビジネスコンサルティングのプロを目指しましょう

私も全力で邁進いたします。それではまた次回!

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